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明治13年から続く老舗のお茶屋、摘翠園野畑茶舗 野畑和久様にお話しをお伺いました。野畑さんは長年、宗和流(そうわりゅう)茶道を嗜まれています。宗和流とは主に飛騨高山で伝承されてきた『武士の手前』と言われている珍しい流派で、初代高山藩主の孫の金森重近(後の宗和)が茶の道を究め作り上げました。金森家は飛騨の藩主を1585年から6代にわたり107年間務めた家系で、初代長近(ながちか)は信長・秀吉・家康に仕えた武将ですが、千利休に茶を学ぶというお茶への造詣も深い武将でした。京都とのつながりが深い高山ならではの歴史文化の一つといえます。
飛騨高山の魅力について
飛騨高山の“趣き”を挙げたいです。最近では海外からの外国人旅行者がとても増えました。わざわざ高山まで足を運んでくる方は日本を堪能しているように思います。例えば、ここ下町(しもちょう)地区は古い町並みが残っています。夜になるとお店が全て閉まり裸電球の灯りだけが軒先に灯るのですが、外国の方は静かになった町をゆっくり散策して町や建物を楽しんでいらっしゃいます。東山地区では京都に倣って寺院が並んでいるので、その界隈は江戸の当時を偲ぶことができます。東山寺院群の東山遊歩道でも外国の方がゆっくり歩いている姿をよく目にしますが、歩きながら日本の風情を感じとっているのだろうと思います。彼らは趣きの楽しみ方を心得ているようですね。歴史的建造物、散策ができる町並みや道、きれいな宮川といった高山にある日本古来の“趣き”は他にはない魅力だと思います。
今、力を入れていることは何ですか?
てぃーさろん てきすい茶室
飛騨高山に古くから伝わる様々な文化のうちの一つ“お茶文化”の発信に力を入れています。私自信宗和流茶道を嗜んでおりますが、皆様には独特の文化で敷居が高いものと思われています。そこで、もっとカジュアルにお茶を楽しんで頂きたくて茶室を併設したカフェスペース『ティーサロンてきすい』を作りました。カフェなので勿論コーヒー、紅茶も用意していますよ。作法などには気にしないで、気楽に和菓子とお抹茶を楽しめる場にしていきたいと思っています。また、下町界隈をもっと楽しんでいただくために“飛騨高山ニッポンの夏休み”という企画に参加させていただいております。このイベントは浴衣を着て街歩きをしてくださった方が協力店で特典が受けられるというものです。お客様は浴衣を着る体験を楽しんでいただけますし、浴衣姿は町の風景の魅力アップにもなり昨年の夏は大変好評でした。お茶にしても浴衣体験にしても日本文化をあまり難しく捉えないで、とにかく気楽に感じてもらえるための入り口の場を作ることは文化の伝承であり自分の使命と考えています。
観光で高山へいらっしゃる方へ一言お願いします。
是非皆さんに高山の“趣き”を感じていただきたいです。初めてお越しの方はガイドブックに載っている数々の名所でその場所の雰囲気や由来を楽しんでください。いつも来てくださっている方なら、いつものコースとは一歩外れた違う道、場所に足を運んでいただけたらと思います。地元の人や車の後ろを少しだけついて行ってみるなどして“ちょっと冒険”してみると偶然の出会いもあるかもしれませんね。旅をより楽しむためにガイドブックには載っていないこともたくさん見つけてください。皆様のお越しをお待ちしています。
- 銘茶・茶道具
摘翠園 野畑茶舗[てぃーさろん てきすい] - 住所 岐阜県高山市大新町1-80
- 0577-32-0820 / FAX:0577-32-0926