山車蔵元十代目 打江屋長五郎 原田勝由樹様

 今回は、有限会社原田酒造場 代表取締役原田勝由樹様にお話をお伺いしました。 江戸時代1885年から続く酒蔵の原田酒造店では杜氏・蔵人は全員飛騨人という陣営で飛騨の酒の味を守り続けています。襲名された“十代目打江屋長五郎”という名跡や店内に飾られている先祖が使用していたという江戸時代の武具などからも山車蔵元の長く由緒ある歴史を感じます。

飛騨・高山の魅力は?

 高山は『酒がおいしい!』と全国のお客様からお褒めの言葉をいただきます。高山の良質な水と寒暖差が“良質な米”を育て、それが酒造りにとって恵まれた環境となっています。歴史的にも高山は江戸と堺の真ん中に位置していたため、東西の酒造り文化の融合地となっていました。また、高山は徳川幕府の直轄地だったため、江戸の役人からいち早く近代的な酒造りの情報が入ってきたことも酒造りの発展に功を奏したようです。そして、昭和30年代終わりのディスカバージャパンのキャンペーンで高山の酒がもつ独特のコクが全国的に注目されたのをきっかけに、飛騨高山はおいしい酒どころのイメージが定着しました。
 当蔵の味はというと、全体的に豊潤ですっきりしているところが特徴で、“フルーティなお酒はすっきり”“辛口のお酒は透明感”を大切にしています。当蔵では13年程前“花酵母”という花の蜜から採取する酵母を取り入れました。さすがにお酒から花の香りがするわけではないですが、花酵母は原料のお米が持つフルーティな香りや、豊かでなめらかな味わいを引き出し、日本酒をよりおいしくしてくれます。また、夏は爽やかに、秋は熟成した旨味などが楽しめるようにと、お酒を通して季節感を味わえるような酒造りを心掛けております。

高山の秋の楽しみ方は?

 高山の秋は楽しみがたくさんありますが、やはり、地元食材を地元のお酒で楽しまれるとより高山の秋を感じていただけると思います。中でも秋に一番お勧めなのがきのこ類。おそらく高山でしか食べられないキノコがたくさんありますから、ぜひお酒とともに試していただきたいですね。“タイコノバチ”というキノコは味噌で炒めるととても美味しく地元の人は大好きです。落ちアユの塩焼きなんかは今の時期が最高です。また、そろそろ紅葉も始まるので名所にドライブに行っても素敵な景色を眺める事ができそうです。

力を入れていることは何ですか?

 酒造りに関しては、新製品の開発をどんどん進めています。また、お酒以外の分野でも高山の酒蔵だからこそできる食品の開発に力を入れています。例えば、地酒アイスは今年の夏の新製品ですし、酒粕とお酒を組み合わせた飛騨牛地酒カレーというものも開発しました。元祖地酒チーズケーキバーという商品は本当に多くのお客様にお買い求めいただいています。山車の総本店という特別な場所にわざわざ遠方から足を運んで下さるお客様には、ここにしかない特別なものを提供することで高山をより一層好きになって頂き、当蔵のお酒を飲んでくださっているお客様には、より一層うちのお酒のファンになっていただきたいですね。

観光で高山へいらっしゃる方へ一言お願いします。

 飛騨高山は「江戸文化と京文化の融合で培われた土地」という背景を感じながら、古い町並みや東山寺院群等で歴史文化に思いを馳せていただけたら良いと思います。山の中の町なのに意外にも江戸時代から親しまれている魚介料理があるなど、食文化探索という視点だけで散策しても、高山ならではの面白い発見があるかと思います。一度で全てを体験するのは難しいと思いますので、「食文化」、「歴史」、「癒し」などのようなテーマを設けて訪れてみてはいかがでしょうか?飛騨高山は何回訪れても十分楽しんでもらえる魅力がある場所ですよ。


  • 有限会社原田酒造場
  • 住所 〒506-0846 岐阜県高山市上三之町10番地 
  • 0577-32-0120 / FAX:0577-34-6001
  • http://www.sansya.co.jp


ページの先頭に戻る↑